HOME サービス・サポートF.A.Q.ウェットSEMカプセル

ウェットSEMカプセル

「高真空ウェットSEMカプセル(QX-capsule)」について、お客様から寄せられた質問に対して説明いたします。該当する項目をクリックすると、その説明が表示されます。

SEM and Imaging

QXカプセルは、現在使用しているSEMに使用可能でしょうか?


QXカプセルは、ほとんどのSEMに使用できるようにデザインされています。QXカプセルは、反射電子=BSE(Back Scattered Electrons)検出器を装備したSEMで使用できます。高真空でも低真空でも使用可能です。アダプターの使用でいろいろなSEMにて使用できます。下記は、QXカプセルを使用可能なSEMの一覧です。
 メーカー名  型  式
 JEOL  5600 / 5900 / 6000 Series
 HITACHI  2600 / 3000 Series / 4000 Series
 FEI(Philips)  XL30ESEM / XL30ESEM FEG / Quanta Series / Quanta FEG
 LEO  1450 / 1500 Series / EVO / Supra
 Camscan  CS3000 Range / MV2300 Range

走査電子顕微鏡があれば、QXカプセルでの観察はできますか?


インレンズタイプの走査電子顕微鏡では、ご使用いただけません。また、基本的に反射電子検出器が装備されていることが必要です(セメントは、2次電子検出器でご覧いただける場合もあります)。また、スロースキャンモードが実装されていることが必要です。反射電子検出器のうち、Upper型、Lower型、アニュラー型ではご使用になれない場合もあります。
上記の条件を満たしていても、顕微鏡の型式の古いものは、充分な感度が得られない場合もあります。FE-SEMでQX-302を使われる場合、アダプタ形状が合わず、試料が顕微鏡内に入らない場合もあります。いずれの場合も、標準試料を用いて、テストをさせていただくことが可能ですので、私どもにお問い合わせください(キャリブレーションカプセル)。

QXカプセルは高真空モードで使用可能ですか?


QXカプセルは、低真空モードと同様に高真空モードでも使用可能です。
カプセルは、1気圧差でも耐えられるので、真空度に制限はありません。

SEMイメージング中にサンプルは乾いてしまわないのですか?


大丈夫です。
QXカプセルの薄膜は、水分を通しません。カプセルはサンプルを真空から完全に独立させ、イメージング中にサンプルが乾くことはありません。

通常のSEMではサンプルを乾燥させますが、どうしてQXテクノロジーではサンプルを乾かす必要が無いのですか?


通常のSEMでは、サンプルは高真空に晒されます。含水(ウェット)サンプルは真空下での脱水過程が制御不能で、サンプルの構造が破壊されます。
したがって真空中でもサンプルの構造を保つために、サンプルを予め決まった方法で乾燥させておく必要があります。 一方、QXカプセルではサンプルは真空から完全に分離され大気圧状態を維持されます。したがって水分の損失が無く、乾燥させておく必要はありません。

QXテクノロジーでは、どのくらいの分解能が得られますか?


金粒子で40 nm、水中の油滴で100 nm程度です。 分解能は、SEMの機種やサンプルに依存します。

(Thiberge et al. PNAS Vol.101, No.10, March 9, 2004. 3346-3351 and Review of Scientific Instruments, Vol. 75 No. 7, July 2004.)

QXカプセルの薄膜からどのくらいの深さまでイメージングが可能でしょうか?


ビームが到達する深さは加速電圧(acceleration voltage)に依存します。
30 kVのビームで水溶液中のサンプルをイメージングした場合、約2〜4マイクロメーターの深さの情報が得られます。10 kVのビームでは、数百ナノメーターの深さの情報が得られます。 加速電圧を変えることで、サンプルから3D情報を得ることも可能です。

薄膜がイメージングの妨げになるのではないでしょうか?


カプセルの薄膜は極薄で凹凸もほとんどありません。
また、数kVでも電子が透過できる素材で作られており、したがって、ビームの散乱は極小で、BSED(back scattered electrons detector)を使って反射電子を検出します。したがって、薄膜がイメージングを妨げることはありません。

電子ビームがサンプルにダメージを与えるのではないでしょうか?


流体は、熱伝導性が高いです。
よって、電子ビームによる損傷は非常に少ないと考えられます。
QX-102イメージングバッファーは、ビームによるサンプルの損傷を最小限に留められるように考えられているので、特別な場合以外はこれを使用してください。 サンプルのダメージを減らすためには、絞りを絞るなどの処置を施し、ビーム電流を減らしてイメージングすることが推奨されます。

ビーム電流の大きさに制限がありますか?


ビーム電流の選択にはいくつかの知見がありますので、QX-102ユーザーズマニュアルを参照してください。
一般に、ビーム電流が高くなると強いシグナルは得られますが、サンプルが損傷したり、分解能に影響を及ぼしたりすることが考えられます。 ビーム電流を低くすると損傷は最小限で抑えられ、その結果として良い結果が得られるかも知れません(ただし、十分なシグナルが得られないこともある)。適切な電流はサンプルに依存し、経験的に決定されます。

QXカプセルが電荷を持つという問題はありませんか?


問題ありません。
QX-102に入っているサンプルはウエット状態であり、カプセル自体は導電性を持っています。油性サンプルなどの非導電性サンプルの観察のためには、チャージアップを軽減するQX-204というカプセルがあります。

QX-102は、光学顕微鏡で使用できますか?


使用可能です。
QX-102とMP-10マルチウェルプレート は可視光を透過するので、光学顕微鏡でも使用可能です。 イメージングはMP-10に適切にセットされた状態でのみ実行してください。 MP-10マルチウェルプレートは操作中にカプセルを保護できるように設計されており、顕微鏡のステージに設置できるように作られています。

QXテクノロジーをEDSで使用できますか?


はい。
QXカプセルはEDS(energy dispersive spectroscopy)エネルギー分散型X線分光で使用可能です。 QXテクノロジーは、ウェットサンプルのEDSに適しています。
ただし、薄膜の主成分である"C"の信号は常に現れます。また、金属グリッドを視野に含ませないようにして分析する必要があります。

QXテクノロジーでは、どのようなイメージングのパラメーターを使うのですか?


QXカプセルを使用してのSEMイメージングは、通常のSEMイメージングとは異なることがあります。
さらに、アプリケーションによっても影響を受けます。 推奨条件については、QX-102ユーザーズマニュアルを参照してください。 イメージング条件の至適化には、キャリブレーションカプセルを使用してください。

サンプルの液体が漏れてSEMを汚染してしまうのではないでしょうか?


QXカプセルの薄膜は、カプセルの外が真空になっても気体・液体を通しません。 したがって、カプセルを正しく扱っている限り(薄膜の損傷には気をつけてください)、サンプルの漏れやSEMの汚染はありません。
正しい扱い方とは、サンプル調製段階の物理的な取り扱い方とイメージング時の適切なパラメーター選択の両方に関連します。
カプセルの薄膜に物体が接触することを完全に避けてください。 どんな接触であっても薄膜を簡単に破壊してしまいます。 イメージングをおこなう時、初めは低いプローブ電圧で始めてください。 初めの電圧は、200 pA以下で始めてください。 もし十分なシグナルが得られなかったら、求めるイメージが得られるまで徐々に電流を上げてください。プローブ電圧は1 nA以下(FE-SEMの場合は0.5 nA以下)にしてください。
倍率の低いところから始めて、その後徐々に希望のイメージが得られるまで倍率を上げてください。

Applications

カーボンでできた電極が観察できますか?


柔軟性が足りず、顕微鏡内でカプセルのメンブレンがたわむことに追従できないため、観察エリアは非常に限られます。また、均質な電極の場合は、コントラストが付かず、ただ電極の有無が分かるだけです(QX-302)。

水中の油粒子(エマルジョン)が観察できますか?


油滴が100 nmより大きければ、観察できる可能性が高いです(QX-102)。

油中の水粒子(エマルジョン)が観察できますか?


水滴が100 nmより大きければ、観察できる可能性があります。エマルジョンの状態によっては、チャージアップを起こして、観察が困難な場合もあります(QX-102)。

アルミホイルに塗布したサンプルの観察ができますか?


アルミホイルは柔軟性が足りず、顕微鏡内でカプセルのメンブレンがたわむことに追従できないため、観察エリアは非常に限られます(QX-302)。

QXカプセルには、酸・アルカリ試薬を使用できますか?


QXカプセルには、一般的に使用されている有機・無機溶媒が使用できます(5 時間曝露した場合)。 結果について下記の表を参照してください。

Solution Concentration pH Conpatibility
NaOH 0.1 M ~ 0.1 mM 13 ~ 10 Positive
NaOH > 0.1 M > 13 Negative
Tris (hydroxymethyl)
aminomethane base
0.05 M 10 ~ 7
(adjusted by HCl)
Positive
Acetic Acid < 0.01 M > 3.5 Positive
Acetic Acid > 0.01 M < 3.5 Negative
HCl 1 M ~ 0.1 mM 0 ~ 4 Positive

QXテクノロジーでは、脂質が多いものでもイメージングできますか?


QXテクノロジーでは、そのままの状態で脂質の分析も可能です。 一般の技術で脂質のイメージングをおこなう際は、有機溶媒で乾燥させるため、脂質が抽出されてしまうなどの問題がありましたが、QXテ クノロジーはそれを回避できます。多くの脂質構造が、どんな修飾も無しでイメージングできます。染色が必要な場合は四酸化オスミウムが脂質に適しています。詳細については、QX-102ユーザーマニュアルを参照してください。

サンプルが気体を発するようなものであった場合、薄膜は耐えられるでしょうか?


内部圧力が1気圧を大きく超えない限り薄膜は耐えるでしょう。

オイル中の金属粒子が観察できますか?


粒子の存在密度によりますが、40 nm程度の粒子までは観察可能です(QX-102 / QX-202C)。

カプセルには、どんな液体も入れてイメージングできるのですか?


カプセルには、細胞・組織・バクテリア・エマルジョン・油・食品・化粧品・インク・液体中の粒子など、さまざまなタイプのウェットサンプルや液体を入れられます。 詳しくは、QX-102ユーザーズマニュアルを参照してください。

セメントが観察可能ですか?


セメント観察専用のカプセル(QX-202C)があります。高真空SEMの中で硬化の様子を経時的に観察することが可能です。

界面活性剤を含む水中の金属粒子が観察できますか?


観察可能です。観察できる金属粒子の最小の大きさは40 nm程度で、充分な粒子密度がある必要があります。表面張力の不足によってQX-102では観察できない場合がありますが、この場合QX-202Cを用いると観察が可能になります(QX-102 / QX-202C)。

界面活性剤を含む水中のフッ素化合物粒子は観察できますか?


観察できません。フッ素と炭素の化合物と水との間にコントラストがつかないためです。

シャンプーの観察ができますか?


シャンプー中のシリカ、チタン、亜鉛などの金属粒子や、油滴は観察が可能です。これらのものを含まないシャンプーは画像になりません(QX-102 / QX-202C)。

歯磨きの観察ができますか?


歯磨きに含まれるシリカ粒子、チタン粒子、カルシウム粒子などが観察できます(QX-102)。

QXテクノロジーで、フォーム状のものはイメージングできますか?


はい、できます。
QX-102カプセルは、化粧品・食品・その他 フォーム(泡)状のサンプルイメージングができます。

ペースト状の粧品クリームを見たいのですが、QX-102カプセルで見られるでしょうか?


はい、見ることができます。
ただ、イメージングできるのはカプセルの薄膜に最も近いところなので、イメージングの際は、クリームが薄膜に接触するように気をつけてください。

寒天の観察ができますか?


寒天を含むゼリー状の物質”hydrogel”については、いまだ観察の成功例はありません。

マヨネーズの油滴の観察ができますか?


観察できます。
変質が早いのですばやい顕微鏡操作が必要です(QX-102)。

チーズが観察できますか?


チーズ内の油滴が観察できます(QX-302)。

牛乳の観察ができますか?


牛乳の脂肪滴の観察ができます(QX-102)。

処理していない食品サンプルのイメージングをしたいのですが、サンプルの詳細を見ることができるでしょうか?


QX-102において、イメージコントラストはサンプル組成の原子番号によって形成されます。それゆえ、原子番号に明らかな違いがあればどんな修飾も無くイメージングすることができます。
水と油のイメージは、QXテクノロジーではっきりとイメージングできるため、食品・化粧品・その他サンプルの脂質構造や組成成分の分析が可能になります。

細胞中のミトコンドリアの観察ができますか?


グルタールアルデヒドを含む固定液で固定し、2 % PTA溶液で染色した事例で、Hela細胞のミトコンドリアの観察が可能でした(QX-102)。

リポソームの観察ができますか?


リポソームは、いまだ観察に成功した例はありません。

カバーガラスに培養した細胞の観察ができますか?


カバーガラスがメンブレンを傷つけてしまうため、できません。QX-102カプセル内で直接細胞の培養が可能です。この場合は電子染色をすれば問題なく観察できます。

金属上に培養した細胞の観察ができますか?


ほとんどの場合、金属がメンブレンを傷つけてしまうため、できません。そうでない場合でも、顕微鏡内でカプセルのメンブレンがたわむことに追従できないため、観察エリアは非常に限られます(QX-302)。

バクテリアの観察ができますか?


カプセルのメンブレンをポリLリジンでコートしてバクテリアを貼り付けることにより、観察可能です。ほとんどの場合、電子染色が必要です(QX-102)。

ウイルスの観察ができますか?


観察できる可能性があります。電子染色をした場合で、観察できる最小の大きさは40 nm程度です。ウイルス単体であれば、カプセルのメンブレンをポリLリジンでコートする必要があります。組織に含まれる場合は、組織と異なる染色密度を与える電子染色を選択する必要があります。(単体:QX-102、組織:QX-302)

QX-102カプセルで、生細胞のイメージングはできますか?


細胞は、生きたままSEMへ導入することができます。短時間のイメージングであれば、生細胞のイメージングはできるかもしれません。
しかしながら、イメージ走査中に構造変化が起こり、細胞の生存に影響が及ぶ可能性があります。 ネイティブの状態ではコントラストが弱く、高い分解能が得られないかも知れず、ラベリングや染色が必要とされるかもしれません。 生細胞もしくは微生物のイメージングでは、培養液もしくはPBSを用います。

このぺージの先頭へ戻る