FFPE Nucleic Acid Extraction Formalin-Fixed Paraffin-Embedded Tissue Preparation

Covaris による FFPE 検体からの核酸抽出アプリケーション


Adaptive Focused Acoustics (AFA) とはディッシュ状のトランスデューサーより一極集中でサンプルに超音波を照射するテクノロジーです。 一般的なソニケーターとは異なる周波数を用い、超音波の出力を高度にコントロール可能な AFA テクノロジーは、次世代シーケンサー (NGS) 用の DNA 断片化のみならず、核酸、タンパク質抽出や化合物溶解等様々なアプリケーションに使用することが可能です。

近年、パラフィン包埋切片 (FFPE) 検体からの核酸抽出にて広く使用されています。

脱パラフィン手法の概略図

FFPE 検体から核酸を抽出する際には、初めにパラフィンを取り除く操作を行います。
従来は、キシレン等に FFPE 検体を浸し、パラフィンを”溶解”し”分散”させる受動的な手法が用いられてきました。 Covaris では、水性バッファー中にて、FFPE 検体に AFA を照射します。 AFA によりパラフィンはミセル化し、組織から取り除かれます。 従来の試薬による脱パラフィン手法に対して AFA による物理的にパラフィンを取り除く手法を Covaris では能動的な脱パラフィン法と位置付けています。

AFA による FFPE 検体からの脱パラフィンの様子


このムービーは Covaris 社からの提供です

“Active Paraffin removal” vs “Passive paraffin removal” - 残留パラフィンの評価 -

パラフィンは青色光により励起され、蛍光を発します。
以下の図は蛍光顕微鏡により FFPE 検体に残留しているパラフィン量を評価したものです。

AFA による”能動的”脱パラフィンを行った FFPE 検体の残留パラフィン量は、キシレンでの”受動的”脱パラフィンの残留パラフィン量と比較して、1/3程度であることが示されています。
残留したパラフィンは、後の抽出工程にある ProteinaseK 処理を阻害します。
AFA による能動的な脱パラフィンは ProteinaseK による組織消化を十分に行わせ、取りこぼしのない核酸の抽出を可能とします。 また、AFA 処理は水性バッファー中のマイルドな条件下で行われる為、核酸の品質を損なわずに抽出することが可能となります。
Covaris の AFA テクノロジーは従来法と比較して、高い収量、品質の核酸抽出を実現します。

“Active Paraffin removal” vs “Passive paraffin removal” - 抽出 DNA の評価 -



左図は Kidney と Uterus の FFPE 検体 (厚さ 20 µm の切片) から抽出した DNA 量を示しています。 測定は Qubit を用いています。

青が Covaris 社抽出キットでの収量、赤がキシレンを用いた他社抽出キットでの収量を示しております。

他社抽出キットと比較して AFA を採用した Covaris 社抽出キットでは2~3倍程度の高い DNA 収量が得られています。

次世代シーケンサーによる抽出 DNA の評価
次に Kidney の FFPE 検体から Covaris キット及び他社キットを用いて抽出した DNA と新鮮凍結検体から抽出した DNA を次世代シーケンサーで全ゲノム解析を行いました。 この解析結果は PCR フリーのライブラリー調製キットを用いたものとなります。

以下の結果は NGS の解析結果を IGV ビューワーで可視化したものとなります。
シークエンスカバレッジが10以上の配列が実線で示されています。


以下の結果は、NGS による解析難易度が高い GC リッチ領域の多い19番染色体の解析結果です。

受動的な脱パラフィンを行う他社キットと比較して AFA による能動的な脱パラフィンを行う Covaris キットではCG リッチ領域であってもバイアスがなく、信頼性の高いデータが得られていることが分かります。
脱パラフィン工程が十分に行われない場合、再水和も不十分となります。ホルマリン固定時に DNA に架橋されたタンパク質等を除く脱クロスリンク工程では、水性バッファー中であることが要求されます。 再水和が不十分な場合は、脱クロスリンクも上手くいきません。 余計なタンパク質等が架橋されている配列は NGS で読むことが出来ない為、不十分な脱クロスリンクはシークエンスバイアスの原因になると考えられます。

AFA による確実な脱パラフィンは NGS の結果も大きく改善することが出来ます。

FFPE QC キットによる抽出 DNA の品質評価
また Covaris では FFPE 検体から抽出した DNA の品質を FFPE 検体用の QC キットを用いて比較しています。 本 QC キットでは qPCR により増幅が可能な品質の核酸量を標品と比較しており DNA では ΔCq が2以下が NGS で配列を読む為に必要な品質の閾値です。

AFA テクノロジーによる確実な脱パラフィンと脱クロスリンクは PCR で増幅がかかる高品質の DNA 抽出を可能とする為、他社キットでは NGS に使用出来ないサンプルであっても解析が可能となるケースがあります。
(この QC キットは illumina 社 FFPE QC キット (PN WG-321-1001) を使用しています)

“Active Paraffin removal” vs “Passive paraffin removal” - 抽出 RNA の評価 -

一般的に RNA は不安定な分子である為 FFPE 検体から抽出した RNA は DNA よりも NGS の解析が難しい傾向にあります。
その為 FFPE 検体からの RNA 抽出工程で、分解を引き起こさないこと、品質を落とさないことが要求されます。 Covaris の AFA による受動的な脱パラフィン操作はマイルドかつシンプルな操作を行う為 RNA の分解を引き起こしにくい傾向にあります。

抽出した RNA の DV200 による評価
以下の結果は Kidney、Liver、Uterus の FFPE 検体 (厚さ10 µm の切片二枚) から抽出した RNA の DV200 値 (200 nt 以上の RNA 断片の比率) を算出した結果となります。

キシレンによる受動的脱パラフィン行う他社キットと AFA による能動的脱パラフィンを行う Covaris キットでDV200 値を比較しております。 Covaris キットでは DV200 値がいずれも50%以上と、他社キットと比較して高い品質で RNA を抽出出来ていることが分かります。

以上の結果は Covaris キットであれば、抽出工程で RNA の分解を引き起こさないことを意味します。

増幅可能な RNA 収量の比較
次に Covaris では RT-qPCR による FFPE 検体から抽出した RNA の QC アッセイを行いました。 抽出 RNA の評価を行いました。 本アッセイでは FFPE 検体から抽出した RNA の内、増幅可能な RNA 量を評価する手法です。 本手法では NGS による解析に要求される閾値を 0.2 ng/µL としています。

他社キットと比較し Covaris キットではいずれのサンプルにおいても高い RNA の品質を維持できていることが示されています。 FFPE 検体から高品質の DNA が抽出出来たのと同様に Covaris キットならば RNA の脱クロスリンクが確実に行われる為 RT-qPCR による増幅が可能であると考えられます。

AFA による確実な脱パラフィンは RNA に対しても分解を起こさず、高い品質での抽出を可能します。
(以上の QC アッセイは ThermoFisherScientific 社が開発した Functional RNA Quantitation assay により行っています)

抽出ワークフロー

Covaris による FFPE 検体からの核酸抽出は Covaris 社が販売する truXTRAC FFPE キットを用いて行います。
truXTRAC FFPE キットには以下のものがあります。
  • DNAのみを精製するtruXTRAC FFPE DNAキット
  • RNAのみを精製するtruXTRAC FFPE RNAキット
  • DNA、RNAの両方を精製するtruXTRAC FFPE total NAキット

各キットの詳細なプロトコールは以下の Covaris 社 Web サイトを参照してください。
https://covaris.com/resources/protocols/nucleic-acid-extraction-from-ffpe/

FFPE 検体からの核酸抽出工程のオートメーション

リキッドハンドラーと接続可能な Covaris LE220R plus をご使用頂くことで truXTRAC FFPE キットの抽出工程のオートメーション化が可能です。

実際にオートメーションシステムを構築したサービスラボの報告が以下の動画となります。


このムービーは Covaris 社からの提供です


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