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マイクロマンE:ユーザー様の声

実際にマイクロマン E をお使い頂いているお客様の声です。
液体分注における問題点とそれがどのように解決されたのかをご紹介します。

【液体のタイプ】高粘度

京都大学 複合原子力科学研究所 渡邉 翼 先生

研究分野:ホウ素中性子捕捉療法
サンプル・試薬:マトリゲル

先生の研究について教えて下さい

現在は京都大学複合原子力科学研究所で、癌に対する放射線療法の1つである、ホウ素中性子捕捉療法 (Boron Neutron Capture Therapy : BNCT )の研究を、主にマウスを用いて行っています。ホウ素中性子捕捉療法とは、ホウ素原子が中性子を取り込むと細胞と同じくらいの大きさである10μm以下の範囲で核分裂を起こすという物理反応を利用したもので、ホウ素原子を選択的にがん細胞のみに取り込ませることによりがん細胞を破壊することができます。
ホウ素中性子捕捉療法は研究用の原子炉で研究が進み、実際に患者さんが研究所で治療を行っていた時代もありましたが、臨床の現場でも2020年に厚生労働省で承認され、保険適応で患者さんに対する治療をすることが出来るようになりました。加速器で陽子を加速し金属に当て中性子を発生させるという装置が産学連携で開発され、今では病院で治療が行われています。

マイクロマン E を導入する前はどのような課題をお持ちでしたか?

マウス皮下に腫瘍を移植する際にマトリゲルを使用しています。ドイツ フライブルク大学に留学中、20 ~40%に希釈したマトリゲルが腫瘍の移植に使用されており、その手法を帰国後も踏襲しています。マトリゲルを使用しない場合と比較し、およそ10日後に腫瘍が治療を開始できるほどの丁度良いサイズになるといったメリットがあります。フライブルク大学では実験助手の方がマトリゲルの前処理を行っていたため気 になっていなかったのですが、帰国後自分で前処理を行う際に高粘度であるマトリゲルの正確な測り取りを通常のピペットマンで行うことが困難でした。マトリゲルがチップの内壁にたくさん残ってしまったり、希釈混合する際に液体に空気が入りこみ濃度が均一にならず、腫瘍の成長速度にもマウス間でばらつきが出てしまい困っておりました。

マイクロマン E を採用頂く決め手となったことを教えて下さい

フライブルク大学ではチップの先をカットしてマトリゲルを分注し希釈混合するなどしておりましたが精度が満足いくものではなく、高粘度の液体は精度よく測り取ることは出来ないものと思っていました。そんな時、エムエス機器さんのセミナーに参加し高粘度の液体を正確に分注することができるマイクロマンEの 存在を知り購入して使ってみようと思いました。

マイクロマン E 導入後は、導入前と比較しどのような効果がありましたか?

私が使用しているマトリゲルは解凍後室温に戻るとpHによって色がつき薄いピンクになるのですが、解凍後明らかに液体中のピンク色にムラがあるマトリゲルであっても1000μl 用のマイクロマンEでピペッティングしなおせばきれいに混ざります。また、マトリゲルのような高粘度の液体にありがちな、分注作業中の液体への気泡の混入という悩みが解消されました。ピペッティング後もチップ(キャピラリー&ピスト ン)内に液体が残ることがなく、きれいに分注することが出来るのでストレスが少ないです。きちんと測り取ることができ、マウス皮下の腫瘍成長速度のばらつきも少なくなったと感じています。
これだけ液体がチップ(キャピラリー&ピストン)内に残らないのであれば、高粘度の液体だけでなく貴重 なサンプルや試薬の測り取りにも適していると思います。

最後に、先生の研究の展望についてお聞かせください

中性子捕捉療法の可能性をさらに広げるべく、研究を続けます!